小説家の伊坂幸太郎さんの作品のアウトプット第三弾。
2023年に文庫本を発売した、記事公開時点の最新作『逆ソクラテス』を読み終わりました。
こちらの感想などをまとめています!
概要
2023年6月に発売。
短編を5つまとめた作品。
今回のテーマは『小学生』で、各短編の主人公は基本的にすべて小学生です。
物語冒頭は小学生だけれど、高校生や社会人になった後も描かれるという話もあります。
それぞれの短編は直接的な繋がりはなく、「この話を読んでいないと別の話の内容が分からなくなる」ということはないので、好きなタイミングで気になる話を読むことが出来ます。
発売は2023年ですが、作品を書いたタイミングは結構まちまちで10年くらい前の作品もあります。
読んだ感想
どの物語も面白かったです。(小学生並みのストレート表現)
今回の小学生は全員高学年の5〜6年(ほとんど6年生だったはず)なのですが、個人的にこの時期は思い出に残っている出来事がいろいろとあります。
また、転校生というネタも多く含まれていましたが、自分自身も転校を2回経験しているので、その辺りも含めて感情移入して読んでしまいました。
タイトル作品の逆ソクラテスとスロウではない、が私は好きです。
逆ソクラテス
この作品のように、担任の先生を見返すために何かするという経験は自分にはないですが、小学生という小さいスケールで大きなことをしてやろうとする意思や、その行動が未来につながっていると解釈出来るところが伊坂さんらしいと思います。
明言せずに読者の想像に委ねるところもいいですし、最後まで読んだ時に最初から読み返すとまた違う見方が出来るところもグッときます。
スロウではない
作中の展開も好きなのですが、最後の「自分が知らないところで関係が保たれていた」にものすごく共感を覚えました。
私が転校した10年後くらいにSNS経由で奇跡的に転校元の学校の友達と連絡を取ることが出来たのですが、その時の経験と似ています。
また、私が逆の立場になっているところもあるなと思いました。
私は小学校を卒業して20年ほど経ちますが、未だに一部の友達と頻繁に会っていて、転校してしまった人から見ると作中最後の司のような心境になるのかも、と思ってしまいます。
余談ですが、転校で別れてしまった友達はやはりそのまま疎遠になっていますね。
その一方で中学校で私立に行って別れた友達とは大人になってから再会し、たびたび遊んでいるので、地元にいるかいないかというのが重要なのかなと思います。
どちらかと言うと自分の経験を振り返って、思うところが多々あったので気にいっている作品となるのでしょうかね。
まとめ
今作も非常に楽しく読むことが出来ましたが、どちらかというと「小学生」というテーマが自分の人生とマッチするところが多く、思い入れがあるようになった作品なのかなと思います。
しかし、短編集をまとめた作品と言えど伊坂さんが得意とする予測不能な展開やビックリする結末というのは健在です。
なので、初めて伊坂さんの作品を読む人にもおすすめ出来ます!
インタビューで伊坂さんが話していますが、類似作品がないので、この作品が面白い!となった時に次に勧める作品に困るというところはあります。
しかし、伊坂流の物語の構築やちょっとおかしな登場人物は十分他作品に通じるものがあるように私は思います。
2023年現在、伊坂さんのほぼ最新作となるので比較的入手しやすいですね。
最後になりますが、小学生が主役の作品と考えるとガソリン生活とかになるのでしょうかね?
この作品も面白かった記憶、そして心に残っている言葉があるのでもう一度読んで記事としてまとめてみたいです。