読む目的
- 実はジャズについてあまり知らないため
- エレクトロ・スウィング系の音楽を突き詰めるにあたり、ジャズの最低限の知識があった方がいいのでは?と思ったため
構成
カルチャー系雑誌『BRUTAS』のジャズの企画です。
今回紹介している号の紹介はこちら。
- 著名ミュージシャンたちによるテーマを設けたインタビューや対談
- 世界各地のジャズ模様
- 6ページほどでジャズの誕生から現代に至るまでの変革について解説
などを70ページ以上にわたって掲載しています。
こういうジャンルについて深掘りする本は古典(ジャズで言うならマイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーンあたりですかね?)の解説が多くなりがちな気がします。
ですが、今回のテーマのひとつに表紙にでかでかと書かれている「JAZZ = POP!」というテーマがあるからか、むしろ現在と未来のジャスに焦点を置いて情報発信しているように私は感じました。
本書の至る所でおすすめのジャズアルバムが紹介されているので、得た情報を元にどのようなジャズを聴けばいいのかが分かるところもポイントが高いです。
感想
全体を読んで「ジャズはそんなに小難しい音楽じゃないよ!とても楽しくて聴きやすいよ!」という雰囲気をひしひしと感じました。
私はロックやポップスから音楽に入って、ロックギターをずっとやっていたことからジャズはとても難しくて素人が出来るものではないという印象が強いです。
確かに音楽理論的に必要なことも多く、パンクみたいにパワーコードが弾ければ演奏できる!という簡単なものではないのですが、読む前よりはそういう偏見は消えました。
この本で紹介されているジャズは本当に多種多様で「これってジャズなの?」と思うものもありました。
特にルイス・コール氏あたりでそう感じます。
本書の冒頭で星野源氏のジャズをテーマにしたインタビューが載っているのですが、同様のことを述べていましたね。
ジャンルレスなごちゃ混ぜの音楽がジャズとなりつつあるのかもしれませんが、これに対して私はスマートフォンなどのデジタル機器の発達と同じようなことが起こっていると考えています。
スマートフォンにはカメラやストップウォッチ、メモ書きなどが含まれていたり、インターネットが世界の距離を縮めたように、物と物の垣根は技術が進歩するにつれて段々と薄くなってきています。
私はこれまではデジタル関連でしかこのようなことは起こっていないと思っていたのですが、本書を読んでジャズでもこのようなジャンル同士の壁が無くなりつつあるのだなと思いました。
そして、私がいま非常に興味を持っているエレクトロ・スウィングについても、ジャズ本体で起こっている様々な変革の中で生まれたひとつのジャンルなのでしょう。
ポップスとEDMとジャズを混ぜたような音楽ですが、私としてはこのエレクトロ・スウィングにも「JAZZ is POP!」を感じます。
本書で得た情報を元にエレクトロ・スウィングを聴くと、また新しい発見があり、よりこのジャンルのことを好きになれました。
まとめ
「JAZZ is POP!」というテーマを掲げた本書は、ジャズに対する印象や考えを変えてくれる情報がたくさん詰まっています。
この本で得た知識をさらに深掘りして調べていくことで、また新しい発見が出てきています。
いわば木の幹のような本だと私は思っています。
この本で紹介されているアルバムもまだ全部を聴き切れていないので、もっと味わうことが出来そうです。
また、本書は月刊誌なので時間が経つにつれて入手は難しくなると思います。(もったいない…)
もしも見つけた際はぜひ読んでみて欲しいです!