お気に入りの本#6【仙台ぐらし】

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伊坂さん作品のアウトプット第二弾。

概要

2005年から2012年ごろまで仙台で発刊されている『仙台学』に寄稿した作品を集めたエッセイ集です。

そのため、作品の素となる普段の私生活について読むという感覚が大きい印象を受けました。
普段の小説とは少し趣が違いますが、伊坂節が好きな方は十分楽しめるかと思います。

読んだ感想

この本を読んで、伊坂さんは非常に繊細な人だと思いました。

普段から些細な出来事でもあれこれ考えて、心配になって生活もままならなくなる一面があるという面を知り、ちょっと身近な人に感じました。

世界が滅びる前の人間たちの物語や、残虐なサイコパスを敵として配置したり、世の中の不条理を描いたりする作家さんとは結び付かないのですが、そのギャップがまた面白いと感じていて、もう一度これまで伊坂さんが発表した全作品読みたいなーと考えております。

余談となりますが、これが伊坂作品の感想をアウトプットしようときっかけにもなりました。前回の『クジラアタマの王様』もこの本を読んだ後に少しだけまとめていた感想をブログ用に編集し直しています。

話を戻すと、伊坂さんの一面で特に共感したのは、空に飛行機が通るたびに「あそこから核兵器が落ちてくるのか」という感覚です。

私も小学生の時にはだしのゲンを知った後からずっと飛行機が、特にヘリコプターが怖くなって核兵器まで言わなくても爆弾が落ちてくるのではないかと思うようになり、今でもヘリコプターの音がすると少し怖くなります。

震災

エッセイを掲載していた時期からして、何かしらの形で震災に触れるだろうと思って覚悟をして読みました。

震災が起きた当時、私は大学生で被災地からかなり離れていたのですが、それでも被害がありましたし、学校の講義でも震災と復興をテーマにして学んだことがありました。

しかし、ここ数年はテレビを家に置かなくなったこともあり、被災地に近い方の発言を聞く機会が減りました。

そのため、この本を読んで改めて震災について考えました。

伊坂さんは「自分が語ることに意味があるのだろうか?」というスタンスでしたが、私からすると「こういうことがあった」と語り継ぐことが重要で、それが誰であるかは関係がないと思いました。

この仙台くらしは構成が非常にうまいと思います。

この震災の話の前にどちらかというとギャグ要素が強い展開の多い「〜が多過ぎる」シリーズのエッセイがあることで、震災の話がよりシリアスに感じられます。

震災関連の話の後にブックモビールという震災をテーマのひとつである物語を置くことでまた震災について考えることがいろいろとありました。

この構成が違っていたら、この本から受け取る印象はかなり異なっていたと思います。

この本は震災をテーマにしているとは思えないのですが、私はこの本を読んでこのように感じました。

まとめ

伊坂さんのエッセイ集である仙台くらし。

伊坂さんの作品はたぶん8割以上は読んでいて、10年以上読み続けているのですが私は作家の伊坂幸太郎が好きなのであって、伊坂さん自身がどんな人なのかは正直なところ興味がなかったです。

それもあり、この本が発行されてから今まで読みませんでした。

本そのものを買ったのも2020年ごろと文庫本が発売してから5年ほど経った後で、そのまま詰み本となっていたので8年くらい放置していた形になります。伊坂さん、すみません…。

ですが、この本を読んで改めて「伊坂さんの小説や文章は好きだなー」と思い知らされました。

現在も伊坂さんがこれまで発表した本を隙間時間に読み返していますが、そのきっかけをくれた本作は私にとって非常に大事な作品となりました。

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