アメリカのプログレバンド『Dream Theater』がアルバム制作時のデモ音源や未公開ライブ音源などを発表する『Lost Not Forgotten Archives』シリーズ。
(実は一部作品は公式ブートレグとして発表済だったりしますが)
記事公開時点ですでに20作ほど発表していて、ファンにとってはたまらない秘蔵作品集となっています。
今回は数あるデモ音源の中でも特に良かった『Falling Into Infinity Demos』を中心に紹介をします!
Dream Theaterについての紹介記事はこちら。
Falling Into Infinityとは?
1997年に発売した4枚目のオリジナルアルバム。
それまで発表していた作品と比較して、幻想的な要素を薄めてロックやメジャー感を出した作品という印象が私にはあります。
結成メンバーであるケヴィン・ムーア氏が脱退した後に制作され、加入したキーボーディストのデレク・シェリニアン氏が唯一参加したオリジナルアルバム作品となります。※ミニアルバムだともう1枚参加しています。
制作中はバンドメンバーの子供の誕生、身内の不幸が重なり、さらにレコード会社が介入して売れ線の曲を作らされる事態になるなど、良いことも悪いことも多々重なっていました。
バンドメンバー内の関係も複雑化し、解散寸前まで行ってしまったという情報もあります。
今回の記事の本題の『Lost Not Forgotten Archives』シリーズのデモ音源として見ると、『Falling Into Infinity』は他のアルバムのデモ音源と違う点が2つあります
- アレンジが定まっていない曲が多い
- ボツ曲が多い
世界的に活躍しているプロミュージシャンたちが作品を制作するまでの過程、ボツにした曲もフルサイズで聴けることがこのデモ音源の評価が高いポイントとなります。
アレンジが違う箇所
気付いた範囲で書きます。
New Millennium
フェードインになっています。
オリジナルアルバム版のように、いきなりギターとキーボードによる幻想的な音から始まる方がインパクトがありますね。
Burning My Soul
この曲はかなり違います。
まず、イントロが『Hells Kitchen』のようです。
曲の構成もちょっと違っていて、オリジナルアルバム版と比較するとちょっと違和感を覚えます。
これは、オリジナルアルバム版を聴きなれているからというのもあるでしょうけれど。
Hollow Years
この曲もオリジナルアルバム版と比較して違いが分かりやすいです。
サビ前のセクションが違っていて、小節が少し長くなっています。
サビ部分もドラムが違いますね。
その他
逆に『Lines In Sand』や『Peruvian Skies』はほとんど変わらない印象を受けました。
ボツ曲について
5曲ほどあるボツ曲ですが、どれも良い曲だと思います。
しかし、その一方で当時のDream Theaterがこれらの曲をボツにした理由も分かります。
収録された曲たちと比較して、ボツ曲たちは良い曲止まりで強いフックとなる部分がないように私は感じました。
選曲についてもレコード会社は介入してきていて、どれを収録するかなども決められていたのかもしれませんが…。
Metropolis Pt.2について
また、このデモ音源で私の評価をさらに高めるポイントとなったのは『Metropolis Pt.2』が収録されていることです。
『Metropolis Pt.2』とは、『Falling Into Infinity』の後に発売された5枚目のオリジナルアルバムで、Dream Theaterの評価をさらに高めることに貢献した名盤です。
こちらにも紹介記事を書いています。
『Falling Into Infinity』制作時期にはすでに原曲として存在していたことは知っていたのですが、しっかりと聴くことが出来る日が来るとは思いませんでした。
20分くらいのデモ音源となっていて、後のアルバムに収録される『Overture 1928』と『Strange Déjà Vu』が軸となっています。
デモの後半に『Dance of Eternity』や『One Last Time』のようなパートもありますが。
12:00くらいのギターソロはおそらくボツとなったのでしょうが、非常に勿体ないと思うくらい良いソロでした。
また、13:30くらいのセクションはLTEの方にあったような気がします。
デモ音源を作りつつも『Falling Into Infinity』のタイミングで出さなかったのは、いま考えると英断だと思います。
『Queen』が『We Are The Champions』を制作しても、すぐにリリースしなかったことを思い起こさせてくれますね。
まとめ
アルバム制作時のデモ音源や未公開ライブ音源などを発表する『Lost Not Forgotten Archives』シリーズの『Falling Into Infinity』。
デモ音源だから当たり前なのですが、完成されたオリジナルアルバムと比較するとまだアレンジ的に練り切れていない部分が見受けられます。
私たちは完成された作品を聴くことが当たり前になっていますが、その途中経過を市販された製品として聴くことが出来るのはあまりないことです。
特に私はミュージシャンなので「どこがどう違うのか?」は非常に勉強になります。
他にも『Images And Words』や『Train of Thought』など、様々なオリジナルアルバムのデモ音源が『Lost Not Forgotten Archives』シリーズの作品として発表されています。
これらも聴きごたえがあるのですが、特に印象に残った『Falling Into Infinity』について、この記事ではまとめました。
原曲と違う部分は残しているので、またどこかで記事として書けたらと思います!